髙橋ドクターのちょっと豆知識は、医学的な見地から高齢者の身体状況や疾病などをご説明いただきます。
医学的な理解を深め、日々の高齢者ケアにぜひお役立てください!
医療法人千甫会 髙橋外科医院 院長
髙橋 亨 先生
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日本人の主な死因について
厚生労働省「人口動態統計」によりますと、2021年にお亡くなりになった方の、主な死因のトップはがんで26.5%、
2番目に多かったのが「心疾患(高血圧性を除く)」で14.9%となりました。3番目は、「脳血管疾患」や「肺炎」を
抜いて、「老衰」10.6%で、亡くなった方は15万2035人。前年より2万人近く増加しています。社会の高齢化が反映
して、老衰の死亡率は2005年以降増加しているようです。
老衰死とはどういう状態なのか
そもそもですが、老衰死とはどのような状態なのか?漠然としたイメージは出来たとしても、正確に理解するのはなか
なか難しいのではないでしょうか。
老衰死とは、加齢に伴う様々な心身の衰弱によって自然に亡くなることを言います。老衰とは、加齢が原因で徐々に心
身の機能が衰えていく状態です。では、一般的に死因として何歳以上の方が亡くなった場合に老衰死として認められる
のかということについては、個人差も当然あるため、医師によっても意見は分かれるようです。実際に医師を対象にし
た調査によると、九十歳以上を老衰とするという意見がもっとも多くなっているという結果もあるようです。
ただし、実際にはそれほどの高齢者になると、何らかの病気にかかっている人も多いため、厚生労働省の「平成31年度
版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」によると、「死因としての『老衰』は、高齢者で他に記載すべき死亡の
原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用います」とあります。単に高齢だからということでは「老衰死」にはなりま
せん。
複数の死因について
ご存じのように、人が亡くなると、医師が死亡診断書を書きます。医師は医学的判断に基づいて死因を記載するのです
が、死亡診断書には、複数の死因が記載されることがあるのをご存じでしょうか。多い人では三つから四つも書き込ま
れています。実は死因は、「直接死因」と「原死因」に分けて書くことになっています。たとえば新型コロナウイルス
に感染して、療養中に肺炎を発症して亡くなったとします。この場合、直接的な死因は肺炎です。しかし肺炎に至った
原因は新型コロナウイルスです。そこで直接死因として肺炎、原死因として新型コロナウイルスの両方を記載すること
になります。
死亡診断書には、その背後にあった病気を、経過が分かるような順序で書かなければなりません。心不全なら、それま
でに、狭心症や心肥大を起こしていたでしょうし、多臓器不全なら糖尿病による腎不全などがもとで他の臓器に影響が
でたのかもしれません。そのため、死亡診断書は直接死因と原死因を含め、複数の傷病名を記載するようになっています。
死亡統計は原死因をもとに集計されています。先ほどの肺炎の例では、原死因である新型コロナウイルスが死因として
数字に反映されます。訃報や第一報などでは、直接死因のみが先行して発表されたりしますので、心不全や多臓器不全、
肺炎、誤嚥性肺炎、呼吸不全などがよく見受けられます。これは、直接の死因ですので、実際は癌だったのか、脳梗塞
なのか、アルツハイマー病なのかすぐに分からないのはこういうことだからです。
例えば、誤嚥性肺炎を引き起こし亡くなった場合、老衰により嚥下の力が弱まっていれば、老衰が直接死因の原因とな
りますので、「老衰死」となり、統計上の死因に該当するでしょう。
老衰死が予測される利用者
何かしらの病気ならば、適切に治療すれば治ることもあります。ですが、老衰は現代の医療では治せません。できること
は、苦痛を和らげて、穏やかな最期を迎えられるようお手伝いをすることです。死に至る過程は、医師からみれば平均的
な経過でも、ご家族の反応はさまざまで、「こんなに急に悪くなるとは思わなかった」と言われることもあります。本人
・ご家族、関わる医療・介護のスタッフは十分な心構えが求められるでしょう。訪問入浴介護をご利用される方におかれ
ましても、今後さらに、自然死への関心が高くなってくるのではないでしょうか。そのような中で、皆様におかれまして
も「老衰」に関する理解を深めることが重要ではないかと思います。次回以降では、「老衰」の経過についてもご説明さ
せていただきます。
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入浴車により訪問し、簡易浴槽を居宅に持ち込み、入浴介護に従事する専門スタッフ3名以上がその サービス実施にあたります。そのうちの1名以上が看護職員であり、入浴サービスの前後にご利用者 の健康観察を行う安全で快適なサービスです。 ★入浴車による訪問入浴介護サービスは、介護保険制度における在宅サービスの一つです。 |
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