2024.04.01

◇実践事例特集◇地域包括ケア実践事例:県民誰もが住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることのできる高知県~医療費高水準の高知県の課題と今後の取り組み~

【実践事例特集】では、デベロ老人福祉研究所がこれまでの研修活動で発表された事例等を基に、改めて

    訪問入浴介護と照らし合わせてご紹介します。

                                                                 

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2010年(平成22年)11月28日(土)に開催しました第45回全国入浴福祉研修会の基調講演におきまして、「そ

の人らしい[生]の全うをサポートするには在宅療養を支援する医師から見た訪問入浴介護[地域在宅ケア時代]のな

かで大きな役割認識をと題し、日本プライマリ・ケア学会副会長 石橋クリニック

例について、「県民誰もが住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることのできる高知県~医療費高水準の高知県

の課題と今後の取り組み~」と題し、高知県地域福祉部福祉課 主査の林 英典様にご登壇いただきました。今回は

ご講演内容より高知県の実践事例をご紹介させていただきます。

 

❖高知県の現状と課題

 高知県における高齢者等の現状と将来推計は、人口10万人あたりの病床数が全国で一番多く、高齢単身世帯の割合が全国で一番高いという特徴があります。高齢者の人口割合でも1位が秋田県だと思いますが、それに次いで高知県は2位です。県民所得は全国39位です。

 高齢者の構成推移を見ると、平成17年から前期高齢者より後期高齢者の方が多くなってきている状況です。高齢者の将来推計人口は、令和2年度に高齢者人口のピークがきています。高齢化率は今後も伸び続けていくということです。県内でいいますと現時点で高齢化率が50%近いような町や村が高知県の中にはあり、平均するとこのぐらいですが状況的にはもっと厳しい町や村もあります。介護保険で40歳から保険料が徴収され始めますが、40歳以上の人口でいうともうすでに減少局面にあるということです。

 介護保険に関する基礎データで、どのくらいの人口規模かということを説明いたします。第1号被保険者数の推計は、約24万人が65歳以上の方で、要介護・支援認定者数は5万人弱ぐらいの認定者がいます。サービス利用率の分布状況が非常に特徴的ですが、居宅と施設の利用割合を見ると居宅の割合が極端に低く、全国で一番低くなっています。県下全体が中山間地域で93%の割合を占めているところから、在宅サービスが届きにくいようなエリアが多いということが読み取れると思います。

 居宅と施設ののサービス利用者数ですが居宅介護支援利用者数は2万人が居宅サービスを使用、施設介護サービスの利用者数は約8,000人で推移しています。

 高知県の状況は、平成27年の段階で全国平均よりも6%くらい高齢化率が高くなっているという状況です。人口は県全体で約70万人になるのですが、人口の74%は中央医療圏の中でも高知市に46%集中しており、一極集中が進んでいる県ということになります。

 中央部を除くほとんどの地域が中山間地域で、面積の93.2%を占めています。高知県は田舎なので土地も安いかなと思うのですが、建物を建てられるエリアがすごく限られていることもあって、土地も高いという状況になています。

 医療資源につきましては、人口当たりの病床数は全国1位で医師数も3位になっており、看護師の数も1位で、人口あたりの医療資源はとても充実しています。病床数は全国1位ですが、特にその中でも療養病床が多いのが高知県の特徴になっており、人口あたりの病床数で見ると全国平均の3.6倍ぐらいの病床があるということになっています。高知市内を歩いていると、コンビニがあるくらいの間隔で病院も多いようです。

 療養病床が増えた経緯は、高知県地域ケア体制整備構想で病床が増えました。昭和36年に国民皆保険制度が始まり、低所得者層を中心に医療への需要が高まりました。これを受けて、県全体の人口は減少していたのですが、この人口が高知市に集中しており、それによって高知市以外でのエリアでの過疎化や核家族化が進行し、特に家庭での介護力の不足など医療ニーズの増加が起きました。

また、公的病院が少なく医療法人による病院の開設が進みました。昭和40年から45年に、いざなぎ景気が訪れたのですが、二次産業のない高知県では労働力が集中するのは医療機関で、その時に病院数や病床数が一気に増加しました。この時から、病床数が多いことが続いていたということになります。

医療費と介護サービス費の状況では、県民一人当たりの医療費が全国2位、介護サービス費に関しては全国43位になっています。入院にかかる費用というのが全国13.1万円に対して高知県は16.9万円で1.29倍、かなり医療費を押し上げている状況になっています。高知県の高水準医療費の背景として本来、福祉施設が整備されていればそこで暮らしていける方が、どうしても入院に頼っていたということで、昭和41年から全国で一番病床数が多い状況が続いているということになっております。

 壮年期40歳から64歳の男性の死亡率が特に全国に比べて高く、平成28年には全国平均の1.25倍亡くなる方が多いことが医療費を押し上げている要因として挙げられます。壮年期世代以降の医療費が高く、5歳刻みの年齢区分で見たときには65歳以上で全国との差が出てくるという状況です。これは高齢者になればなるほど顕著に差が出ております。

 平成27年に医療機関の退院支援担当者に聞いたアンケートでは、「もし療養病床以外でこの方が暮らしていくとしたら望ましい施設はどこか」と聞いた場合、100人療養病床に入院されている患者さんがいても、36人くらいは病院ではなくてもふさわしい施設があればそこで暮らしていけるのではないかという結果が出ています。

 こういったアンケート結果を受け検討し、療養病床ではなく新しい受け皿として平成30年から介護医療院というQOLがより上がるような施設への移行を進めているということです。QOLの向上に向けての基本的な方向性ですが、壮年期の死亡率が高いということもありまして、健康づくりを徹底していくということと、地域の受け皿をつくるということで、できるだけ入院ではなく施設、施設ではなく在宅という形で、その方の状態に合わせたサービスの受け皿を作っていくということに取り組んでいます。

❖高知県地域医療構想

 高知県では平成28年12月以降の地域医療構想を作成し、令和7年の医療需要と患者の病態に応じた病床の必要性の推計を、国から示された算定式に基づいて推計するということになっています。県民全体でその情報を共有し、地域ごとにあるべき医療体制を話し合って、目指すべき方向性を決めていく構想を策定しています。

 高知県のデータで、平成31年の段階では病床の数は15,486床ですが、地域医療構想であるべき病床数、令和7年の病床の必要数は11,252床ということで4,000床くらい、15,000を基準にすると25%くらい病床を減らしていくというような方向性を目指しているところです。慢性期のところで平成31年に1,813床あった療養病床が、令和元年度末までに363床まで減っていく見込みです。実際に介護医療院への転換が進んで、これだけの数が減っていくという見込みになっています。

 慢性期の部分は一定に進むのですが、それ以外の急性期の部分では5,105床ありますが、令和7年には2,860床、高知県は慢性期が多いのですが急性期も多いことで、この部分もどのようなあるべき姿にしていくのか課題が残っているところです。それに関しては、急性期から回復期への転換支援であったり、病床を減らしていったときに補助金を出すようなダウンサイジングの支援を併せて行っているところです。

今後の方向性と具体的な取り組みでは、療養病床から介護医療病床等へのスムーズな転換は進んではいるのですが、急性期と回復期の過不足が急性期は飽和状態、回復期は足りないという病床の区分をどう帳尻を合わせていくのかが課題となっています。

 防災対策上の観点も踏まえた療養病床転換支援制度の強化・拡充は、高知県は南海トラフ巨大地震が今後来るのではないかということが言われており、特に耐震化ですが療養病床を多く持っている病院は実は未耐震が多いのです。未耐震が22病院あって、いかに耐震化を進めていくかが課題となっております。一昔前であれば、海沿いに建っている病院で景色もきれいだねと言われるような病院だったと思うのですが、今は南海トラフのことが言われ出して高台への移転だったり、もし巨大地震が来た時にどのように患者を避難させていくのかが課題になっているところです。

 未耐震の部分に関しましては、平成30年度から高知県独自の施策になるのですが、介護療養病床・医療療養病床・介護医療院などの施設に転換して頂く場合に、併せて耐震化をする場合の費用を補助しています。これらを活用することで、病院としては持ち出しが少なく済み、今年度と来年度でいくつかの病院に活用していただき、医療機関のニーズを踏まえた施策を打っていきたいと考えているところです。

❖日本一の健康長寿県構想

 日本一の健康長寿県構想ということで、医療と福祉と介護の施策を集めて目標を立てていく構想です。高知県では5つの基本政策を掲げています。第一は経済の活性化、第二は日本一の健康長寿県づくりということで、健康寿命の延伸なども含めて柱立てをして取り組んでいます。

 日本一の健康長寿構想につきましては、平成22年に最初の構想が策定され、それが3期目になり、令和2年度から第4期という形で、今まさにバージョンアップの作業中です。いろいろな柱立て、介護だけに限らずいろいろな施策を打っているところです。

 壮年期の男性の死亡率が高いと申し上げましたが、壮年期の死亡率の改善の取り組みや、地域で安心して住み続けられる県づくりでは、介護保険ではここにメインの施策というのが入っている形になります。厳しい環境にある子どもたちへの支援と少子化対策の抜本強化では、少子化は日本全体でも進んでいることですが高知県でも顕著になっており、子どもたちの出生率を上げていくための取り組みや支援を行っています。

 医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化というところで、令和7年までに介護人材受給力アップ、介護人材がどれだけ足りなくなってくるのか推計しますと、高知県でも1,000人くらいは今後5年間で看護不足になるという推計になっており、今後いかに現場に定着していただくのか、新たな人材の参入を促していくための県の施策というものを掲げているところです。

 バージョンアップのポイントとして、壮年期の死亡率の改善として、ヘルシー・高知県・ブロジェクトの拡充。高知県の健康パスポートを県オリジナルでつくっており、健診に行ったとかマラソン大会に出たなどでシールを集めていきながらポイントを獲得し、いろいろなところで特典が受けられる制度のパスポートになっています。また特定健診の受診率・特定保健指導実施率の向上対策の強化、そして血管病の重症化予防対策の強化をしているところです。

 地域医療構想の推進では療養病床の転換、回復期が不足して急性期が多いところをいかに病床の区分を再編して取り組み、また障がい児・者の支援体制の充実を、掲げているところです。

 さらに、厳しい環境にある子どもたちへの支援と少子化対策の根本強化、医療や介護などのサービスを担う人材の安定化確保と産業化のバージョンアップポイントがあります。医療や介護では1,000人くらいの人材不足が生じます。良好な職場環境の整備による人材確保の強化ということで認証評価制度、京都府は有名ですが実は高知県もしっかり取り組んでおりまして、一定の要件を満たす事業所に高知県認証介護事業所ということで表彰を行っています。人材の定着率の高い事業所にはお墨付きを与えて事業を運営していただいております。

 職員・ご利用者の安全・安心と業務効率化の強化では現在、国でもICTの導入、文書量の削減などに取り組んでいると思いますが、高知県においてもICTの介護・医療を結ぶICTを高知大学に研究開発していただいて県内に広めているところです。抱え上げない介護「ノーリフティングケア」を推進するということでは、いろいろな機器の導入などを検討し補助金を用意して支援をしています。新たな人材参入促進の加速化では、介護助手の取り組みなど外国人介護人材の確保も併せて対応しているところです。

 健康パスポートについて、面白い取り組みだと思いますのでご説明したいと思います。高知県健康パスポート事業、楽しみながら健康的な生活を習慣化できる予防・健康づくりのプラットフォームを県が構築するということで、実際に始まったのは平成28年9月からです。20歳以上の高知県民で、利用者数が約31,626人になっており、参加施設ではポイント付与、そこに行って何かをしたらポイントがもらえるというのが1,300施設くらいあり、特典付与をしてくれる施設が505。元々は紙の形でパスポートとしてあったのですが、平成30年9月からアプリも導入しています。これは歩数計に兼ねていて一定以上の歩数で、ポイントが貯まる制度になっています。それが4ステップあり、一番上のマイスターになると受けられる特典の幅も広がるということになっています。

 予防・健康づくりのプラットフォームの活用で、基盤としては健康パスポート事業を県が行い、それに上乗せの形として県内34の市町村で健康づくりの事業を行っており、それに合わせて企業・事業所でも健康経営のための取り組みを42社でやっていただいています。健康パスポート事業につきましては、平成28年度国保・保険者努力支援制度「個人インセンティブ・分かりやすい情報提供」評価指標全国第1位になっております。

 次に介護も含めた取り組みとしては、これも高知県のオリジナルだと思いますが、高知版地域包括ケアシステムの中で地域福祉の拠点「あったかふれあいセンター」これは各市町村が運営しているセンターになっています。県は運営費の補助や開設の際の施設整備をしていますが、高齢者に限らず障がい者と児童も対象者に含まれていますが、基本機能として相談・訪問・つなぎの機能、生活支援を一体的に行っているという形になっています。

 県内で48の拠点があり、そのほかに231のサテライト施設があります。中山間地域にサービス事業所としてはなかなか不足しているところはあるのですが、こういった「あったかふれあいセンター」に関しては、基本的にはどの市町村にもこの拠点があって相談を受け付けたり、通いをしていただいて日中そこで過ごしていただいたりする機能を用意しています。拡充機能として、移動手段の確保であったり配食など、場合によっては宿泊とか介護予防をそこで行ったり、認知症カフェなど拠点ごとに内容は異なるのですが市町村に取り組んでいただくために県でも補助金を出しております。

 介護保険の取り組みでは、高知版地域ケアシステム、地域包括ケア推進監による推進体制の強化という形で、平成30年から5つの保健所に市町村の首長に対応ができるような人員を配置して、地域での課題など今後どうしていくべきか、一緒に市町村の計画など事業を行うポストを用意しています。

配置したことによって、やはりそれまでは市町村単独で考えてというところでしたが、県との連携が良くなり施策が進めやすくなったという声もいただいています。

 医療では、地域におけルゲートキーパー機能を担う総合診療専門医の養成ということで、高知県は、特定の分野に限ることなく広く診察できる医師の要請にも力も入れているところです。医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化ということで、高知県で行っていることをご紹介したいと思います。職場環境の改善による介護職員の定着・育成支援では、ご利用者の安心・安全と業務の効率化支援など、実際に福祉機器の導入支援先の拡充などを個別の事業所を回っての福祉機器の使用説明など、ノーリフティングケアに取り組んでいただく事業所を拡充しています。ICTの導入促進については、高知大学が開発した高知ケアラインがあり、その基盤を安く提供し記録などの電子化を行うことによって、職員の負担軽減をしております。

 処遇改善につながるキャリアアップ支援については、地域開催の研修会など介護職員の処遇改善加算の取得を支援する取り組みを行っており、職員が研修に行く際に代替職員を派遣する事業も行っています。新たな介護人材の参入促進ということで、周辺業務などを行う介護助手の要請にも力を入れており、平成30年度からは新たな介護資格の生活援助従事者研修の受講からマッチングまでを一体的に支援し、外国人介護人材の日本語学習も支援しています。

 このようにそれぞれに細やかな施策を行っておりますが、一定の要件を満たす事業所に認証取得に向けた主体的な取り組みを支援するということで、認証協会制度を知事名で表彰しています。そういった認証取得に向けた支援を強化しつつ、人材の育成や処遇改善、職場環境の整備を実現していくことで、認証取得にあたってはセミナー開催や個別コンサル等のプロセスを年2回サポート強化するなど各事業所が認証を受けやすくなる取り組みをしているところです。

 地域医療の推進では、高知県は療養病床が多いといいましたが、医療機関が自主的に今後の病床のあり方を考えていくというのが基本なのですが、それにあたってのヒントを考え、一緒に議論していくことを行っています。地域医療構想の推進に向けたプロセスのステップ1として、医療機関において今後の推進に向けた支援策等の取り組みとして、実際に介護医療院への転換にあたっての懸念点とかメリットを伝えるようなセミナーの開催、実際に医療機関を回って意見交換を行っています。療養病床から介護医療院に展開した場合にどのような収支になるのかなど、新規事業としての経営シミュレーションを支援しています。個別の医療機関が運営として厳しいということであれば、連携法人を作るような取り組みも行っているところです。

 方針を決定していただいてのステップ2では、県域ごとに調整会議をセットしているのですが、実際に医療機関の方が集まって地域での望ましい医療のあり方を議論していくことにしています。ステップ3では、病床の転換に向けた改修など、ダウンサイジングの実行にあたっては様々な補助金を用意し、支援しているところです。

 高知県では、医療の課題というのが多くなっています。全国の都道府県でも地域ごとにそれぞれ様々な課題があると思うのですが、市町村で取り組めることも当然あると思いますが、広域的な財政支援となりますと国や都道府県の役割も今後重要になってくるかと思います。

 介護保険においてもこの制度だけで対応できない部分において、高知県でも中山間地域の訪問介護に行った場合、地域の加算があると思いますが高知県独自の補助を設け、様々な要望を受けて施策を行っております。

 それは全国の都道府県でも同じだと思いますが、実際に要望があるようなことは思っているだけでは実現しないので市町村も場合によっては都道府県に要望して施策の実現を促していただければと思います。

 

《質疑応答》

質問者 訪問入浴介護を利用される方が病院から在宅に戻るときの退院支援についてご説明頂きたいと思います。入院から在宅生活への円滑な移行の中で、例えば病院と介護関係者間の引き継ぎルールの策定・運用支援、ゲートキーパー機能の強化、概念、などもう少し詳しくお話を聞かせてもらえればと思います。

 退院支援のルールですが高知県の場合、今全てのエリアでルールが策定されているところですが、高知市に病院が多いということもあって高知市の病院、介護事業所も含めて退院支援のルールを様式なども含めて作りました。それを参考に他の県域でも若干様式は違いますが、統一のフォーマットを作って退院支援をしています。高知県でも研修会を設けて医療機関の関係者に情報発信をしながら定着を支援しているところです。

 ゲートキーパーの機能については、いろいろな関係者が地域におりますが、それが結びついていないという問題意識から、県域ごとに高知県の幹部職員を派遣し、ゲートキーパーと呼ばれる関係者の方を結び地域包括ケア推進監もいろいろな地域の会議にも出ておりますので、課題があった場合に横での連携を行っているということになります。ゲートキーパー自体はいろいろなケースによって関係者が出てくるので、結び付けを誰がするのかということを高知県の方に行っていただいていることになります。

 高知県は高齢化と人口減少が進んでおり、高知市が一番大きな市で約30万人の人口がいますが、一番小さいところでは大川村という400人を切っている村があり、少し前にニュースで出ましたが直接民主制を考えているくらい人口が少なくなっているところもありまます。何を住民のためにやるべきか、地域包括支援センターは高知県の直営が多いのですが、そのスキルの高さを感じるところです。

質問者 高知県版地域包括ケアモデルで、地域包括ケアというと基本自治体が運営されるのがメインと思っていまして、そこに高知県が介入することによって、ゲートキーパー的な役割を果たすことができるというメリットがあるかと思うのですが、介入しすぎると自治体の役割分担が明確でなくなるなど、自治体が高知県でやってくれるのだからやらなくていいのではないかなど、そのように思われてなかなか足踏みが揃わない傾向が出てくるのではないかと思っています。そういう課題があったのかないのか、課題があったならどのようなことをどうやって克服できたのかをお聞かせいただけたらと思っています。

 高知県が介入するということで、いろいろな自治体の状況が見られると思うのですが、高知県の中でここは地域包括ケアがかなり優れている、よくできているなという事例があればお話いただきたいと思います。

 高知版地域包括ケアシステムは、高知県が介入していくというお話はしたのですが、5ヶ所の保健所でやっている関係で地域包括ケア推進監も5人おり、熱心な推進監もいますし、結び付きはやりますがそこまで介入しないという推進監もいますので、そこの調整が難しいです。

 地域包括ケアシステムが進んでいるのかということですが、高知県は、いきいき100歳体操の発祥の県です。元々高知市で発症しましたが、通いの場を各地域に設けて行っているところでは進んでいると思います。高知県は10年高齢化が進行しており介護保険料は県平均で5,691円となっています。全国平均は6,000円近いのですが、保険料は抑えられています。特に高知市はもっと低いのですが、一定の予防の効果が出ていると思います。

 

 ※出典:入浴福祉研究第54号(2020年(令和2年)4月20日発行 編集・発行:デベロ老人福祉研究所

 

 

訪問入浴介護のサービス提供については、常に質の高いサービス提供が求められます。そして安定した事業運営のた

めには生産性の向上と、効率の良い提供体制が必要となります。

そのためには地域の特性を把握する必要もありますので、林氏のご所属する高知県と株式会社デベロが所在する茨城

県で、面積や高齢者人口等がわかるデータを作成しましたのでご参考にしてください。

 

皆様におかれましても、自分たちの「地域の特性」を理解して事業の効率化を図ると共に、訪問入浴介護サービスの

力を最大限発揮していただきたく存じます。訪問入浴介護は在宅での看取りに関しても、その役割が期待されていま

す。参考として令和6年度より新設されました「看取り連携体制加算」について掲載しますのでご活用ください。

 

    令和6年度介護報酬改定 訪問入浴介護における看取り対応体制の評価    

 

【告示改正】

訪問入浴介護における看取り期の利用者へのサービス提供について、その対応や医師・訪問看護師等の多職種との

連携体制を推進する観点から、事業所の看取り対応体制の整備を評価する新たな加算を設ける。

 

【単位数】

<現行>        <改定後>

 なし    ▶     看取り連携体制加算64単位/回(新設)

※死亡日及び死亡日以前30日以下に限る。

 

【算定要件等】

〇利用基準 

イ 医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者であること。

ロ 看取り期における対応方針に基づき、利用者の状態又は家族の求めに応じ、介護職員、看護職員等から介護

録等利用者に関する記録を活用し行われるサービスについての説明を受け、同意した上でサービスを受けている者

(その家族等が説明を受け、同意した上でサービスを受けている者を含む。)であること。

〇事業所基準 

イ 病院、診療所又は訪問看護ステーション(以下「訪問看護ステーション」という。)との連携により、利用

の状態等に応じた対応ができる連絡体制を確保し、かつ、必要に応じて当該訪問看護ステーション等により訪問看

護等が提供されるよう訪問入浴介護を行う日時を当該訪問入浴ステーション等と調整していること。

ロ 看取り期における対応方針を定め、利用開始の際に、利用者又はその家族に対して、当該対応方針の内容を説

明し、同意を得ていること。

ハ 看取りに関する職員研修を行っていること。

 

 

 

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訪問入浴介護は、3人(看護師、オペレーター、ヘルパー)1組で入浴介護を行うチームケアです。お互いの職種を

把握することはもちろん、性格や考え方を理解することは生産性とサービスの質の向上のために大変重要です。

 

 

▶訪問入浴介護とは

 

在宅において、自力で入浴が困難な方を介助し入浴の機会を提供するものです。

入浴車により訪問し、簡易浴槽を居宅に持ち込み、入浴介護に従事する専門スタッフ3名以上がその

サービス実施にあたります。そのうちの1名以上が看護職員であり、入浴サービスの前後にご利用者

の健康観察を行う安全で快適なサービスです。

 

★入浴車による訪問入浴介護サービスは、介護保険制度における在宅サービスの一つです。

 

 

▼訪問入浴サービスご案内(動画)

 

➡訪問入浴介護のご案内ページへ

 

 

『入浴』と『看護・介護』の力の集結!!訪問入浴介護サービスの力

訪問入浴介護のサービス提供時には、入浴介助に伴って様々な『付帯的なサービス』が行われています。

 

全身観察

身体の状況を確認する最大の機会

看護師を中心に褥瘡等の早期発見・予防など、あらゆる観点から確認します。

 

 

生活支援の側面
寝具等ベッド環境の整備
離床する際に、シーツ、枕カバーなどの交換が行えます。不衛生になりがちなベッド周りも清掃して、環境を整えることができます。

 

 

 

 

身体介護の側面
ご家族へのアドバイス
寝たきりである利用者への清潔な下着や着衣の交換はもちろんのこと、「スキンケア」や「体位の交換」といったご家族への適切なアドバイスも。

むくみや拘縮の緩和、リハビリ要素も

入浴中は温熱作用、浮力・粘性作用により関節も動きやすくなりますので、状況によりマッサージなどを行う場合もあります。

 

全身の整容と向き合う

入浴で清潔の保持はもちろんですが、洗顔、ひげそり(電気シェーバーにて)や爪切り(疾患のない爪)など、全身の整容を考えてサービスが実施されます。

 


移動入浴車デベロバスカは
今日も全国の各地域で活躍しています!

移動入浴車デベロバスカのご紹介 ~その機能と用途