移動入浴車誕生と入浴福祉研究の歩みでは、1972年の移動入浴車誕生からデベロが歩み続けた入浴福祉研究の歴史をご紹介いたします。
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今回の全国研修会回顧録は、第47回「全国入浴福祉研修会」の当時青森県弘前市職員、前ソフトボール日本代表監督の齋藤春香様の
基調講演、『絶対に勝つ!世界一(金メダル)のコーチング術!!~熱意のある「人の力」がチーム力を高める~』をご紹介させていた
だきます。
▼齋藤春香先生の講演
§はじめに 北京大会における女子ソフトボールの金メダル
お話を始める前に皆様にぜひご覧いただきたいものがあります。それはこのボールです。このボールは、4年前の2008年8月21日米国との決勝戦で実際に使用されたウイニングボールです。あのとき、皆様のお力添えで女子ソフトボール日本代表は、優勝し金メダルを手にすることができました。応援していただいた皆様にぜひそのときのボールを手に取っていただきたいと思って持参いたしました。ソフトボールの球は、野球と同じ硬さなのですが、野球の140グラムに比べ200グラムと重い作りになっています。つまりなかなか打っても飛ばないボールです。そのため、女子ソフトボールにおいては68メートル以上飛ぶとホームランになります。また、4年前、北京五輪においてエースの上野由岐子投手は、米国に敗れた準決勝で9イニング、米国戦ではタイブレークの延長戦、昼からの連投にもかかわらずオーストラリアとの3位決定戦でも12イニングを投げて、球数は計318球。上野投手も疲労の色は隠せませんでしたから継投策も考えましたが、考慮の末、続投を行い、最終的に413球と本当に頑張ってもらいました。しかし、あの大会に臨むまで、それまでに本当に投げ込み、走りこみをしました。それだけの試合に耐える体力を作る必要性を実感し目標を掲げ皆でがんばってきました。上野投手の投球の速さは119キロです。野球の速さの1.4倍ですから、バッターボックスに入った打者にとっては、165キロの体感速度になります。ストップウォッチで図ると0.38秒であり、1秒にも達しませんからあっという間にボールが通過するという印象です。さて、専門的な話はそのくらいにして、今日はタイトルにある「コーチング術」についてのお話に入りたいと思います。 §新チームの弱点と強化策 チームは、上野投手を筆頭に守りでは世界上位でした。いかんせん攻撃力が弱かったのです。守りに守っても最後は打たれる。攻撃力を強くしたかったのです。そこで選手たちに「アメリカから3得点あげれば優勝できる」と伝えました。対アメリカ戦では、これまで過去の対戦でも2点以上取ったことがないので、3点取れれば絶対勝てると考えたからです。じゃあ具体的にどうすれば良いか、男子チームに依頼し男子選手のピッチャーにどんどん投げてもらいました。アメリカの190センチ以上の選手と戦うという五輪での試合を想定して打撃練習をしました。また、避けて通れないのは体力です。スピードやスタミナを付ける為の走りこみも積極的に指示し行いました。やはり気力イコール体力です。野手は毎日1000スイングをしました。一球一球のスイングごとに「世界一になる」という言葉を口にしながらバッティング練習をしました。手には血豆もできました。これほど努力したからこそ、北京であれだけの試合ができたのかと思います。「金メダルを取った」という経験がない、というのは理由になりません。感じて動くことの必要性を思いました。チームはいろんな考えの選手が集まります。日立のチームでは、選手同士365日一緒にいますが、全日本のチームとしては合宿でしか会えないので、その時間でいかにひとつのチームにするかが大事です。そこには「感動」、感じて動くということに取り組まないと。やらされるのはなく自分で感じて動くことが大切なのです。そこでいろんな機会を設けました。涙を流すような講演を頼んだり、苦労された話を聞いたり、過度の緊張にどれだけ平常心で臨めるか、ということのために新たな取り組みとして合気道を取り入れました。また、速読法のように眼だけを動かして情報を得て行動に移すことで、眼の機能が頭の回転を良くするビジョントレーニングをしました。さらにチーム力を高めるために「チームノート」を作りました。これは私が監督になってからの新しい試みでした。チーム、選手全員で一冊のノートを使います。試合、練習が終わればノートを一人の選手に渡します。夜、1ページを任せ書かせるのですが、練習メニュー、試合の結果を書き、所感を書きます。今日思ったことを書きます。次の日の朝、選手スタッフ含めて全員で一読します。全員が取得した情報をもとに練習や試合に臨むのです。毎日、毎日これをやると一人の選手の思いが全員に伝わるのです。結束力を生むことになりました。今は携帯などで一斉メールするえばスピード感をもって情報は伝わるのですが、手書きにすることで感情が伝わって、スタッフにも心が伝わるものがありました。内容は自分だけのことじゃなくて、最後はみんなで世界一になろうというノートになりました。 §最強にして唯一無二の方法 言葉で言うのは簡単ですが、実践としては一人ひとりの考え方や協力を引き出し目標を浸透させるために、個人でも全体でもミーティングをしました。試合が終わり、宿舎でも一人ひとりの選手と何を考えているのか話をしました。最初は「今日はどうだった?」「悩みはあるの?」と話しかけます。最初はなかなか話しませんが、徐々に選手は思いの丈を話してくれるようになりました。話をした後には選手はすっきりとした表情で帰っていくようになりました。こういった働きかけをした次の日の練習では、その選手は200%、400%の力を出してくれます。それを見るとコミュニケーションというのは大事だな、と思うのです。こういったことはメールではできません。必ず顔を向き合わせて話をすることが大事なのです。このミーティングは選手ばかりではなくスタッフとも同様に行いました。朝食後、スタッフミーティングを行い、仕事の内容、問題点、良かった点、悪かった点を洗い出すミーティングを行いました。練習後も行いました。これらはとても良い成果を出してくれと思います。私はミーティングが大好きなのですが、北京大会でも選手主導のミーティングというのも行いました。これまでは監督からの全体ミーティングが行われていましたが、私が監督になってからは選手を中心に円陣を組んで、その後ろにスタッフやコーチや監督が位置し選手を囲む形にしました。 |
資料:入浴福祉研究第45号 2012年(平成24年)7月31日発行 掲載記事p.9-17より引用・抜粋
皆様記憶に新しい昨年7月27日東京オリンピック2020のソフトボール決勝は日本がアメリカ合衆国を2対0で下し、2008年の北京オリン
ピック以来の連覇を果たしました。北京オリンピック以降、ロンドン、リオデジャネイロ五輪と競技から外れたソフトボールですが、見
事に13年越しとなる金メダルの奪取となったわけです。思いおこせば14年前の北京オリンピックソフトボールの決勝で日本はアメリカを
破り念願の金メダルを獲得。エースの上野由岐子投手の連投に大きな感動と勇気をいただきました。
ところで講演では、上野投手の「413球」の熱投についても前齋藤監督に語っていただき、決勝戦のウイニングボールを感情に持参してい
ただきました。さて、齋藤前監督の講義から私が感じたことは、北京五輪に向けて新チームが結成された時に、チームの決まりごと、つま
りルールを選手達に決めさせたことです。そのルールは、①あいさつ、返事、身だしなみ ②時間厳守 ③全日本選手として自覚と責任を
持って行動する ④グラウンド内では全力プレー(本気) ⑤マイナス発言はしない ⑥For The Team ⑦目配り・気配り・心配り ⑧
携帯電話持ち出し禁止 ⑧の携帯電話については、スタッフ達は必要なものでしたのでルールから省き、最終的に7つ内容がルールとして
決まったとのことです。どの項目もごくあたり前のことですが、チーム一丸となって世界一を勝ち取るためにはあたりまえのことしかあり
ません。このルールはチームの意識を高めていくために良かったとのことです。あたり前のことがあたり前にできる。どんな仕事であって
も基本であることを改めて理解することが出来ました。
さて皆様、訪問入浴サービスはチームケア。それぞれのサービス従事者の役割やお互いの長所を理解してこそ質の高い訪問入浴介護の提供
へつながるのではないでしょうか。
▼訪問入浴介護のサービス提供に携わる従事者
訪問入浴介護では、看護師または准看護士(看護職という)、介護職員および機械操作を行う介護職員よりなる3名以上の従事者で実施する。
それぞれの職種と担っている役割を「9 サービス従事者の役割」で説明する。なお、訪問入浴介護従事者のチームのとりまとめをする人を 定めておく。これは、業務を責任もって行う上で必要であり、看護師がこれを行う場合の他、常勤の介護職員が行う場合もあり、事業所によ って異なる。また、従事者のうち1人以上は、常勤でなければならない。安全で快適な入浴介護を確保するために、この3人は互いに連携して 決められた手順に従い作業を行わなければならない。なお、利用者の身体の状況が安定していることから、入浴により利用者の身体の状況等 に支障を生ずるおそれがないと認められる場合は、主治の医師の意見を確認した上で、看護職に代えて介護職員を充てることができる。 介護予防訪問入浴では、看護職1人および介護職員1人で行うことができる。利用者に対して、入浴により身体の状況等に支障が生じるおそ れがないと認められる場合には、主治の医師の意見を確認した上で、看護職なしで、介護職員2人で行うことができる。 また、入浴は利用者にとって最もプライベートなかかわりをもつ介護であるため、羞恥心などへの配慮を含めて従事者は介護で知り得たこと などの秘密を十分に守らなければならない。 |
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訪問入浴介護は、3人(看護師、オペレーター、ヘルパー)1組で入浴介護を行うチームケアです。お互いの職種を把握する
ことはもちろん、性格や考え方を理解することは生産性とサービスの質の向上のために大変重要です。
▶訪問入浴介護とは
在宅において、自力で入浴が困難な方を介助し入浴の機会を提供するものです。 入浴車により訪問し、簡易浴槽を居宅に持ち込み、入浴介護に従事する専門スタッフ3名以上がその サービス実施にあたります。そのうちの1名以上が看護職員であり、入浴サービスの前後にご利用者 の健康観察を行う安全で快適なサービスです。
★入浴車による訪問入浴介護サービスは、介護保険制度における在宅サービスの一つです。 |
▼訪問入浴サービスご案内(動画)