2022.11.10

移動入浴車誕生と入浴福祉研究の歩み▶シリーズ第8回

移動入浴車誕生と入浴福祉研究の歩みでは、1972年の移動入浴車誕生からデベロが歩み続けた入浴福祉研究の歴史をご紹介いたします。

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今回は、1991年(平成3年)9月26日(木)・27日(金)に新潟県新潟市「郵便貯金会館・メルペルクNIIGATA」で開催され

た第26回全国入浴福祉研修会から、当時群馬大学医学部草津分院院長、日本温泉気候物理学会理事であられた白倉卓夫医学博

士の講義をご紹介いたします。演題は「老年病の成因と予防ーとくに脳血栓症を中心として」でしたが、血液循環の観点から

高齢者にとって高温浴が危険なことをご指導いただきました。

 

▼白倉卓夫先生の講演

 

§脳血栓も誘発する高温浴の危険

血液には血栓を溶かす働きがあるといいましたが、ただ困ったことに、入浴温度が42℃以上になるとt-PA産生が低下する一方、PA-1産生が増加して線溶能が低下してしまうこともわかってきました。したがって、あつ湯の入浴は逆に血栓形成をうながしかねないことになり、脳血栓症や心筋梗塞症など各種血栓症患者には、ぬる湯の入浴が大変重要なことになります。

また、血液中には赤血球より大きさが7、8分の1くらいの血小板という小さな血液細胞がたくさん流れています。この血小板の働きは血管が破れたりすると、直ちに、破損部分に凝集能が弱すぎると出血しやすくなり、逆に強すぎると血栓形成が起こりやすくなるといったことが起こります。

私たちの実験では、47℃といった高温浴では、血小板のこういった凝集能が一斉に亢進します。電子顕微鏡でみると血小板が機能亢進状態を起こしている形態が観察されます。つまり高温浴は血小板にも影響を及ぼして、血栓形成の方向に押しやる作用ももっているようです。

 

資料:第26回全国入浴福祉研修会記録 1991年(平成3年)9月26日・27日実施 於「郵便貯金会館・メルパルクNIIGATA」(新潟県新潟市)より

 

当時、オペレーターとして訪問入浴サービスに従事していた私にとって、40℃以上の湯温の入浴は血液年度を上昇させていしまい、
血漿板凝集機能を亢進させてしまい、脳血栓さえ誘因することをご説明いただき、これまで以上に低温浴の入浴が重要なことを理解
いたしました。
別紙のとおり、要介護4・5の方々の介護が必要となった原因の1番は脳血管疾患(脳卒中)です。低温浴そして短時間入浴はもちろ
んのことご利用者のお部屋の温度管理も充分に行って訪問入浴のサービス提供を進めていただきたいと存じます。

 

▼別紙

 

▼訪問入浴介護ハンドブック「在宅療養で多い疾患と訪問入浴介護の安全活用」

 

▼訪問入浴介護ハンドブックP.9 「血液・血管から見る心臓や脳への影響」

 

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訪問入浴介護は、3人(看護師、オペレーター、ヘルパー)1組で入浴介護を行うチームケアです。お互いの職種を把握する

とはもちろん、性格や考え方を理解することは生産性とサービスの質の向上のために大変重要です。

 

 

▶訪問入浴介護とは

 

在宅において、自力で入浴が困難な方を介助し入浴の機会を提供するものです。

入浴車により訪問し、簡易浴槽を居宅に持ち込み、入浴介護に従事する専門スタッフ3名以上がその

サービス実施にあたります。そのうちの1名以上が看護職員であり、入浴サービスの前後にご利用者

の健康観察を行う安全で快適なサービスです。

 

★入浴車による訪問入浴介護サービスは、介護保険制度における在宅サービスの一つです。

 

▼訪問入浴サービスご案内(動画)

 

➡訪問入浴介護のご案内ページへ