2022.09.20

移動入浴車誕生と入浴福祉研究の歩み▶シリーズ第5回

移動入浴車誕生と入浴福祉研究の歩みでは、1972年の移動入浴車誕生からデベロが歩み続けた入浴福祉研究の歴史をご紹介いたします。

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入浴福祉の全国的な広まり

移動入浴車デベロバスカは、安全性・快適性もさることながら入浴福祉がここにあることを厚生省(現・厚生労働省)か

認められ、(財)老人福祉研究会(現・長寿社会開発センター)の事業採用となり各市町村社会福祉協議会を対象に移

浴車の貸付事業が1974年(昭和49年)スタートします。茨城県水戸市の千波湖畔でのセレモニーでは、老人福祉研究

会の永原勘栄常務理事出席のもと盛大に行われました。この事業は1978年(昭和53年)まで実施され、全国80か所の各市

町村社会福祉協議会に納車されました。

 

より専門性を高めた全国入浴福祉研修会

入浴福祉の広まりにつれ、全国入浴福祉研修会も医療・社会福祉といったより専門性が求められていきました。厚生省(現

・厚生労働省)をはじめとし、研究機関、大学などからもご賛同いただき、著名な先生方にご参画をいただきました。

 

 ■1979年(昭和54年)第6回全国入浴福祉研修会 東京(日本赤十字社本社)

  ・この回より、杉 靖三郎 先生の講義が始まる。

 ■1979年(昭和54年)第7回全国入浴福祉研修会 京都(ホテルニュー京都)

  ・(財)老人福祉研究会(現・長寿社会開発センター)永原勘栄常務理事が講演。

 ■1980年(昭和55年)第9回全国入浴福祉研修会 茨城(茨城県産業会館)

  ・この回より、西 三郎 先生(当時・国立公衆衛生院衛生行政室長)の講義が始まる。

 

▼ 西 三郎 先生の講演

 

第7回全国入浴福祉研修会(昭和54年9月20・21日実施 於「ホテル・ニュー京都」)の(財)老人福祉開発センター(現・一般社団法人長寿社会開発センター)常務理事永原勘栄氏の講義から。

世界で例がない老人国に(永原氏の講演内容を抜粋)
 日本はこれからビックリするほど老人が増えます。おそらく、どの国も経験したことのない「老人大国」になるでしょう。
 昭和70年には、65歳以上が約2,500人に達し、80歳以上が現在の130万人から660万人になりますし、100歳以上は今の10倍、1,000人が1万人
になると予測されています。この時点で先進国並みの12%の老人人口になるのですが、さらに今のベビーブーム世代が控えていますので、やたら
と老人が増えていきます。
~略~
 30代、40代の人に「老後をどうするか」と聞いたことがありますが、同居を希望する人が多いようでした。しかし、実査のスタイルとしては、
それぞれの生活を尊重しあった「スープの冷めない距離」がいいようです。同居するにしても台所を別にしたり、部屋を完全に分離することが大
切なようです。

 講義の中の昭和70年とは、1995年であり、平成7年ということになります。2022年4月15日に総務省が発表した2021年10月1日の時点の人口

推計では生産年齢人口が7450万4000人で人口に占める割合が59.4%となり過去最低になったとのことです。生産年齢人口のピークは1995年で

あり8720万人でしたが、人口に占める割合は69.5%でした。1995年から2021年の約26年で生産年齢人口は約15%減少したということです。

 そして永原氏は今後、老人と子供が同居出来ない状況を予想されていますが、2019年日本の全世帯は5178万5000世帯で、その中の高齢者の

みの世帯は1485万6000世帯で全世帯に占める割合は28.69%です。今後さらに高齢者のみの世帯は増加していくことと思われます。

 

資料:「デベロ創業社長回顧録(入浴福祉普及運動とデベロ立井 」、「デベロ創立30周年記念誌あゆみ」、他