移動入浴車誕生と入浴福祉研究の歩みでは、1972年の移動入浴車誕生からデベロが歩み続けた入浴福祉研究の歴史をご紹介いたします。
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今回は、1982年(昭和57年7月7・8日)に開催された第12回全国入浴福祉研修会から、当時東京大学名誉教授(医学博士)
そして日本医師会編集委員長でいらっしゃった杉靖三郎先生の講義「老化と寿命」を取り上げます。
▼杉 靖三郎先生の講演
§入浴福祉の精神的手当を
さて、私たちは、男の42歳、女の33歳を厄年といって、人生の節目と考えてきました。確かに、40歳前後になると肉体に峠が訪れるようです。体力は20代も40代も大差はないのですが、傷を負ったり、腰を痛めたりすると、40代はなかなか治りません。この回復力にかなりの違いが出てきます。そこで年をとったら、休息を十分に取りながら仕事をすることが大事です。 栄養、運動、休養、睡眠、これが健康の三本柱として叫ばれていますが、現実はまるで逆のことが行われていて、どうすべきかが議論されています。いずれにしても、40歳前後が健康の境目になり、また今日では70歳ぐらいで第二の節目をむかえることを知って、40歳からの健康に留意したいものです。 長寿は人間の願望ですが、病気をしたり、そして老衰で亡くなってゆきます。日本人の死因は、ガンが16万5,000人、脳血管障害16万人、心臓病が13万人です。意外と多いのが老人の肺炎で、7・8万人も年間に死んでいます。この肺炎が一般に老衰とされているのですが、本当の老衰とは何か?とずいぶん研究されてきました。 結論を述べますと、老化とみられているのは、実はパロチンというホルモンの欠乏で、細胞と細胞の結合組織が弱化することだ、といわれるようになったのです。ちょうどレンガの建物をつないでいるセメントがグラグラしてくる状態です。ところが、これはいわばニセの老化で、外から修復することができるわけです。医学会ではいま免疫論争が盛んで、ビールスでもガンでも、結局は免疫細胞が減少して体が冒されるのだ、それをどうするかなのだ、と議論されています。ビタミンCの大量療法が話題になっていますのも、そのひとつです。 では、本当の老化は何か?あるのかないのか?となるわけですが、ウィリアム・ハーベイという血液循環の原理を発見した人も、長寿者を解剖してみたらどこにも老化は認められなかった、との報告を残しているのです。しかし、現実に100歳以上生きる人はきわめて少数で、日本でも105歳が境になっているのかは、よくわかっていませんが、これも免疫が減少するからで、老衰死ではないとされています。 そこで、人間はみな最後に精神病になって自殺するんだ、との説が強くなってきたわけです。病気を克服するために、クスリだけでなく精神的な手当が重要だ、といわれているのもそんな理由からです。寝たきり老人をみていると、80歳以上で寝たきりになると、大半が数カ月で死んでしまいます。60歳ぐらいから寝たきりになると、20年30年と寝てしまいます。定年退職後に寝たきりになる人が実に多いわけで、これも肉体的な健康だけでなく、精神的な健康がいかに大事かのあらわれでしょう。 人間はひとりでは生きられません。ストレスで即座に心身がやられてしまいます。みなさんの入浴福祉は、単に老人の体を清潔にするというだけでなく、スキンシップによる精神的な介護など大きな意味が込められています。ぜひ、この福祉を発展させて下さい。 |
資料:第12回全国入浴福祉研修会記録 1982年(昭和57年)7月7・8日実施 於「ホテル・ニュー京都」より
さて、上記の講義は1982年のことですが、1980年の日本の人口は1,168億人であり、15~64歳の人口は約67%を占め高齢化
率は9%でした。(2020年15~64歳の人口は59.1%高齢化率は29%)1980年代の日本は「バブル景気」に突入し好景気に沸
いていました。ところで厚生労働省の簡易生命表から1982年の平均寿命は男性75.22歳、女性79.66歳でした。そして2020年、
男性81.64歳、女性が87.74歳の状況です。杉先生の講義「老化と寿命」では、日本人の死因として脳血管障害が取り上げられ
ておりますが、脳血管疾患の死亡数は1970年頃をピークに低下傾向を示したとのことです。これは、早期診断や治療法が著し
く進歩したことが要因で、脳血管疾患発症の危険因子である高血圧の発症防止対策の効果のあらわれとのことです。
ところで訪問入浴介護は要介護4・5の高齢者高齢者の方々を中心に利用されている在宅サービスの一つですが、要因のとおり
要介護4、要介護5いずれも令和元年の国民生活基礎調査から脳血管疾患で介護が必要となった方々が多い状況です。
今回2015年発行の「訪問入浴介護ハンドブック」 在宅療養で多い疾患と訪問入浴介護の安全活用より、心疾患、脳血管疾患の
方への入浴等を取り上げました。
皆様、日々の訪問入浴介護のサービス提供にご活用ください。
★訪問入浴介護ハンドブック 在宅療養で多い疾患と訪問入浴介護の安全活用
※画像をクリックしていただくとご案内チラシがご覧いただけます。
2022年7月27日の読売新聞からですが、『脳卒中 相談窓口の充実必要』とのことで、医療部の影本菜穂子様の記事が掲載
されておりました。ご紹介させていただくと、日本の脳卒中学会が今秋にも全国約200か所の拠点病院を認定し、脳卒中患
者や家族の相談窓口の整備に乗り出すとのことです。国に先駆けた取り組みの背景には、一命を取り留めた患者の療養生活
への支援が手薄な現状があるとのことです。日本脳卒中協会の19年調査では、全国の患者や家族計約570人のうち、自宅の
生活を支える制度やサービスの情報を十分得られたと答える人は半数にとどまったとのこと。具体的に困ったことは、
▷地域で十分なリハビリを受けられない▷制度や手続きが煩雑だ▷復職支援が得られない、などが寄せられたとのこと。
※日本脳卒中協会の患者・家族調査から
訪問入浴介護は、3人(看護師、オペレーター、ヘルパー)1組で入浴介護を行うチームケアです。お互いの職種を把握する
ことはもちろん、性格や考え方を理解することは生産性とサービスの質の向上のために大変重要です。
訪問入浴介護とは
在宅において、自力で入浴が困難な方を介助し入浴の機会を提供するものです。 入浴車により訪問し、簡易浴槽を居宅に持ち込み、入浴介護に従事する専門スタッフ3名以上がその サービス実施にあたります。そのうちの1名以上が看護職員であり、入浴サービスの前後にご利用者 の健康観察を行う安全で快適なサービスです。
★入浴車による訪問入浴介護サービスは、介護保険制度における在宅サービスの一つです。 |
▼訪問入浴サービスご案内(動画)