2019.03.29

「日本入浴福祉研究会」の足跡

立井宗久創業社長と杉靖三郎先生との出会いから

とある雑誌の特集で、杉靖三郎先生と対談する機会があり、寝たきり老人の入浴問題について意見の交換をしたさい、デベロで主張している低温定温方式について、安全と快適との調和に苦心のあることを述べたところ杉先生は、「現在の医学界でもまだその分野の研究は進んでいない、自分も研究に参加したい」と意気投合。

対談で立井は、寝たきり老人や重度身体障害者が入浴できないことに着目し、何とかして入浴させてあげようと研究開発してきた経過をお話しして、俗説に垢では死なないと言う話があるが、茨城県に23年間も入浴していなかったという老人の話をして対談が始まった。先生は「日本の場合は欧米とは違って湿度が高いからね、垢では死なないどころか垢に微菌が付着繁殖して体をむしばんで行くんですよ。だから老人、病人に垢は強敵ですよ」と医者としての意見を述べられたとのことです。

かねてより、入浴福祉普及活動の展開の中で、著名な医学者の協力を得なければならないと考えていた折、 この対談が縁で立井の取り組んでいた入浴研究に対して杉靖三郎先生にご指導いただくことになり、日本入浴福祉研究会発足の起点となりました。


杉 靖三郎(すぎ やすさぶろう) 医学博士(1906年生まれ~2002年5月29日逝去 享年96 歳)

日本の生理学者、医学評論家。日本医師会学術委員長を32年間務める。

その功績を称えられ日本医師会最高優功賞を授与される。

大阪府堺市生まれ。

1928年東京帝国大学医学部卒。

1941年 国民精神文化研究所文化部主任

1946年-1951年 医学書院 編集長

1952年-1969年 東京教育大学教授

1956年 『人間の科学』で毎日出版文化賞受賞

1966年 定年退官

1969年-1976年 専修大学教授

1951年-1983年 日本医師会学術委員長

 

著書

生命と科学 目黒書店 1941、科学と伝統 培風館 1942、科学のふるさと 畝傍書房 1943

科学と学道 目黒書店 1944、生理学 学術書院 1948、 養生訓と現代医学  1981   他


杉先生との対談をきっかけに、有志の先生方が参加されるようになり、日本入浴福祉研究会が発足。杉先生の他に、社会学者である那須宗一先生(当時:中央大学教授)、医学博士である西三郎先生(当時:国立公衆衛生院衛生行政学室長)の3人からの出発。

 

「日本入浴福祉研究会」初期メンバー

代表理事 杉 靖三郎(医学博士・筑波大学名誉教授・元日本医師会学術委員長)

代表理事 那須 宗一(中央大学文学部社会学部教授)

理  事 西 三郎 (医学博士・元国立公衆衛生院 衛生行政室長)

理  事 永原 勘栄(財団法人老人福祉開発センター(現・一般財団法人長寿社会開発センター)常務理事)

理  事 立井 宗久(デベロ創業社長)

事務局長 立井 宗興(デベロ専務(のちに代表取締役社長))